高圧ケーブルの遮蔽層の接地は両側に取ってはいけませんよ。
なぜ高圧ケーブルの遮蔽層を接地するのか
心線を絶縁する絶縁体は、均一な電位傾度の場合絶縁効果を発揮しますが、
局部的に電位傾度の高い箇所があるとそこが劣化します。
そのため、遮蔽層を絶縁体の外周に巻くことにより、これを接地し
心線からの誘電束密度を均平化します。
遮蔽層を接地しないと誘導により帯電し、遮蔽層から閃絡放電して絶縁体
などを損傷や焼損するため、接地します。
また、遮蔽層の電位上昇をおさえ50V以内とし、予想外の感電事故等を
防止します。
ケーブル内部の地絡に対しては、ケーブル貫通形ZCTにより地絡電流を
検出する方式が一般的です。この場合、地絡電流通路となる遮蔽層
銅テープは接地する必要があります。
高圧引込みケーブルの両端接地はダメ
・両端接地の場合は、迷走電流を拾ってGR,DGRが不用意に動作する恐れがあります。
・電流が通過してケーブル焼損したケースもあります。
・迷走電流がなくても両端接地の場合、地絡電流の検出精度が悪くなり、GRの不動作
が起きやすい。
・関係する法的な規定がないため、電力会社の技術協議のみに頼っているのが通常です。
過去の事例から「引込みケーブルは片端接地」とされています。
【事故事例】
高圧引込みケーブルの遮蔽層接地線が電源側と負荷側の両端接地となっていたため、
低圧回路の漏電によって、たまたま電源側接地箇所と負荷側接地箇所との間に電位差
が発生しケーブル遮蔽層に電流が流れました。
この電流を貫通形ZCTが検出し、CBが動作して停電してしまった例があります。
このようなことから、高圧引込みケーブルの接地は片側のみ接地を取ります。