受変電設備、キュービクルの保有距離、設置時の注意点です
キュービクルとは
キュービクルとは、キュービクル式高圧受電設備のことをいい、
主に高圧自家用需要家が電力会社から受電するための受変電設備
として用いられるものです。
高圧受電設備、変圧設備とこれに伴う機器一式を
金属製のキャビネットに収めたものを言います。
キュービクルではなく、電気室にフレームパイプで架台を組み、
受変電設備機器を取付ける方法もありますが、
現在はあまり見受けられません。
そこでキュービクルのメリットとして、以下の点が挙げられます。
①専用の電気室などがなくても、屋上などに簡単に設置できる。
②簡単に移動でき、据付けも比較的簡単にできる。
③設置面積が少なくてすむ。
④充電部が露出しないので、危険が少ない。
⑤現場での作業が少なくて済む。
キュービクルの主遮断装置は受電設備容量によって制限があります。
【キュービクルの種類】
形式 | 受電設備容量 | 主遮断装置 |
---|---|---|
PF・S形 | 300kVA以下 | 主遮断装置として、電力ヒューズ(PF) と高圧開閉器(S)とを組み合わせて用いるもの。 |
CB形 | 4000kVA以下 | 主遮断装置として、遮断器(CB)を用いるもの。 |
※キュービクルの受電設備容量とは、主遮断装置以後に、
直接接続される変圧器の合計容量です。
受電設備に使用する配電盤などの最小保有距離
機器別 | 前面又 は操作面 |
背面又 は点検面 |
列相互間 (点検を行う面) |
その他 の面 |
---|---|---|---|---|
高圧配電盤 | 1.0m | 0.6m | 1.2m | - |
低圧配電盤 | 1.0m | 0.6m | 1.2m | - |
変圧器等 | 0.6m | 0.6m | 1.2m | 0.2m |
※列相互間とは機器類を2列以上設ける場合。
キュービクルの保有距離(屋内)
保有距離を確保する部分 | 保有距離(m) |
---|---|
点検を行う面 | 0.6以上 |
操作を行う面 | 扉幅+保安上有効な距離 |
溶接等の構造で換気口がある面 | 0.2以上 |
溶接等の構造で換気口がない面 | - |
※扉幅が1m未満の場合は1m、保安上有効な距離とは、人の移動に支障をきたさない距離
キュービクルの保有距離(屋外)
①屋外に設置するキュービクルは、建築物から3m以上の距離を保つ。
ただし、不燃材料で造り、またはおおわれた外壁で開口部の
ないものに面する場合は、この限りではない。
②金属箱の周囲の保有距離は、1m+保安上有効な距離をとる。
ただし、隣接する建築物等の部分が不燃材で造られ、かつ、
当該建築物等の開口部に防火戸その他の
防火設備が設けてある場合は屋内キュービクルの保有距離に準じる。
③キュービクルを高所の開放された場所に施設する場合は、周囲の保有距離が
3mを超える場合を除き、高さ1.1m以上のさくを設ける等の墜落防止措置を
施す。
屋外設置キュービクルの注意事項
キュービクルの施設場所
・機器の重量を考慮し、地盤の堅固な場所に設置する。
・キュービクルの設置方向(特に、換気口の位置)は、風向きを考慮する。
・雨水、氷雪による被害等を受けるおそれがないように十分注意する。
キュービクルの基礎
・基礎は、キュービクルの設置に十分な強度を有する。
・基礎には、基礎内に雨水が入った場合、排水できる排水口を設ける。
・基礎は、キュービクルの電力量計の検針窓の位置を考慮し、検針が
容易な高さにする。
・キュービクル前面には基礎に足場スペースを設けるか、代替できる
点検用の台などを設ける。
・ゲタ基礎の場合、小動物が侵入しないよう、防鳥網を設ける。
高圧電線路を屋上に敷設する場合の注意点
①キュービクルが屋上にあり、高圧屋上電線路によるときは、ケーブルを
使用する。
②架空ケーブル工事の場合では、造営材に堅ろうに取り付けた支持台等に
より支持し、造営材と1.2m以上離して施設する。
③ケーブルを造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうな管またはトラフ
(金属ダクト)に収め、トラフには人が容易にケーブルに触れないように、
鉄製または鉄筋コンクリート等の蓋を設ける。
④ケーブルが他の工作物と接近交差する場合の離隔距離は、60cm以上
とすること。また、他物に接触しないように施設する。
屋上の高圧ケーブルにはケーブルラックを使用しないほうが無難である。
厚鋼電線管か金属ダクトで施工しよう。
非常電源専用受電設備
認定キュービクルの場合
配電盤 及び 分電盤 |
保有距離 |
---|---|
操作を行う面 | 1.0m以上 (ただし、操作面が向き合う場合は1.2m以上) |
点検を行う面 | 0.6m以上 (ただし、点検に支障がない場合はこれ以下でも良い) |
換気口を有する面 | 0.2m以上 |
変圧器及びコンデンサ | 保有距離 |
点検を行う面 | 0.6m以上 (ただし、操作面が向き合う場合は1.2m以上) |
その他の面 | 0.1m以上 |
キュービクル型 | 保有距離(屋内の場合) |
操作を行う面 | 0.1m以上 |
点検を行う面 | 0.6m以上 |
換気口を有する面 | 0.2m以上 |
キュービクル型 | 保有距離(屋外又は屋上の場合) |
各面 | 1.0m以上 (ただし、隣接する建築物又は工作物の 部分を不燃材で造り、当該建築物の 開口部に防火戸その他の防火設備を 設けてある場合は、屋内に設ける場合 の保有距離に準じることができる。) |
キュービクル型 | 保有距離 |
他の変電設備、 発電設備、蓄電池設備 |
0.1m以上 |
非認定キュービクルの場合
【隣地境界から3m以上の場合】
●制限は特に無い。
【隣地境界から3m未満の場合】
●隣地境界から3m未満の位置に設ける場合は、高さが非常電源専用受電盤設備の最高高さ以上で、不燃材で造った塀を設けることが条件。