電気工事の工程表の作成方法です。
工程表とは
工程表とは、建設現場における作業の予定表、計画表です。
建設現場には工期があります。
工期内に工事を完成させ、施主に引き渡して完了です。
建設現場にはいろんな種類の作業があり、その作業には順番があります。
ある作業が完了しないと次の作業ができないものもあり、
一つの作業が遅れると
全体の工期に間に合わないことも出てきます。
工期内に工事を完了させるためには、
その多くの作業の工程を管理しなければなりません。
工程表を作成することで、いつまでにどの作業を完了すればよいかを
把握することができます。
工程表の種類
工程表には、いろんな種類があります。
■全体工程表、マスター工程表
着工時に作成する工程表です。
縦軸に建物の階数や工区、横軸に日程を記入するのが通常です。
■月間工程表
1ヶ月分の工程表です。月末の総合定例などで作成する工程表です。
■週間工程表
毎週の定例時に作成する工程表です。1週間の工程ですが、
先週、今週、来週と3週間分作成するときもあります。
■タイムスケジュール
1日の作業でのスケジュールを時間単位で作成する工程表です。
キュービクルや発電機の搬入や、高圧の切換え作業、年次点検など、
重要な作業では必ず作成します。
■バーチャート工程表
バーチャート工程表は、
縦軸に建物の階数、工区、横軸に日程をとります。
作業開始から終了までをバー(棒)で表した工程表のことです。
比較的作成は簡単ですが、作業の手順は漠然としていて、
工期に影響する作業がどれなのかは不明確です。
見やすく、簡単に作成できるところがメリットですが、
各作業の関連性がわかりにくいというデメリットもあります。
■ガントチャート工程表
ガントチャート工程表は、
図表上で時間を区切り、各工程に対応する時間の実績を記入する表です。
バーチャートと同じく縦軸に建物の階数、工区、横軸に日程をとります。
ある時点における計画と実績、つまり作業進行の度合いが一目でわかります。
図表の作成が簡単なのでスケジュール管理に向いています。
電気工事の工程表ではあまり使用しません。
■ネットワーク工程表
ネットワーク工程表は、
①→②→③のように丸印と矢印の結びつきで工程を表すものです。
作業の順序や因果関係を明確に把握できますが、作成が難しく複雑です。
クリティカルパスを表すときに用いられる工程表です。
工程表の作成方法
電気工事の工程表を作成するには、まず建築業者の工程表をもらってから作成します。
建築工程に合わせ電気工事の工種を作成しましょう。
電気工事の工程表はバーチャート工程表で十分です。
全体工程表では、
工事着手時は接地工事や、スリーブ工事、
躯体工事時はスラブ配管、建て込み配管
内装工事時は天井内配線や器具取付を記入していきます。
そして電気工事で重要なイベントを記入します。
■受電
受電は電気工事で最も重要なイベントです。
高圧受電であれば、キュービクルを設置し、高圧引き込み工事、引込柱または
高圧キャビネットを設置、高圧ケーブルの端末処理、耐圧試験を行い受電となります。
受電までには多くの工程をクリアしなければならないので、受電から逆算し
工程表を作成し、受電に間に合わせる必要があります。
■機器の搬入
キュービクル、発電機の搬入、分電盤、動力盤の搬入は必ず記入します。
こういった受注製作品は納期が数ヶ月かかり、かつ発注までに製作図の
チェック、承諾を得るまでに時間がかかりますので、発注時期も工程表に
記載し、発注遅れがないように管理します。
■諸官庁検査
消防検査、建築主事検査も重要です。検査を受けるには対象項目の工事を
完了し、試験を行い、申請書類を提出し、検査を受けます。
検査に合格しないと検査済証が交付されませんので、引渡しに支障をきたします。
その他のイベント
・建築、機械設備およびその他の工事工程
・仮設準備期間
・諸官庁への届出書類提出時期
・施工計画書、機器製作図、施工図の作成、承諾の時期
・接地極埋設時期
・アンテナ設置位置の受信調査時期
・配管、配線、機器取付等の施工の取り合いおよび取り合い部分の完了時期
・電力、電話等の引込配線の施工時期および期間
・各種試験の時期および期間
・試運転調整時期および期間
これらの項目を考慮し、工程表に記入します。
人工山積表
全体でどれくらい作業員の人工がかかるかを把握することもとても重要です。
設計図、実行予算から全体の人工を算出し、工程表に毎日何人工必要かを
記入していきます。
受電、竣工間際のピーク時には多くの作業が重なり、作業員を多く入れなければ
なりませんが、作業員を多く入れると、現場管理者も大変ですし、資材も
無駄になりやすいので、なるべくピークを前倒しするように工程表を作成します。
工程表はほんとに重要
工程管理は非常に重要です。近年、職人不足が影響してか、建築工事の
遅れが目立ちます。建築工程の遅れの影響を電気工事はもろに受けます。
仕上げ工事が遅れると電気工事としては器具取付や試験調整ができませんので
竣工間際にバタバタになります。そうなると無駄なお金がかかります。
工程管理をきっちり行い、早め早めの対応をして、工程の遅れがないように
しましょう。