試験方法

絶縁耐力試験(耐圧試験)の方法

絶縁耐力試験(耐圧試験)の方法です。

絶縁耐力試験の目的

絶縁耐力試験は受変電設備や高圧ケーブルが十分な絶縁耐力が
あるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を確認するため
電気設備技術基準解釈(第14条~第18条)に準拠した試験電圧を
印加して試験します。

絶縁耐力試験は、電気設備の新設、増設時、長期間休止状態時の設備を再使用する場合などに行います。

絶縁耐力試験の電圧と時間

最大使用電圧 試験電圧
電路の絶縁耐力試験
変圧器の絶縁耐力試験
器具等の絶縁耐力試験
7000V以下のもの 最大使用電圧の1.5倍の電圧
7000Vを超え
15000V以下の
中性点接地方式のもの
最大使用電圧の0.92倍の電圧
7000Vを超え
60000V以下のもの
最大使用電圧の1.25倍の電圧(10500V未満となる場合は、10500V)

試験電圧は、最大使用電圧7,000V以下の場合、「最大使用電圧×1.5倍の電圧」となります。
最大使用電圧とは、機器の接続される配電線路の変圧器の送り出し側の最高タップ電圧をいい、
公称配電電圧6600V系統ならば、6900Vをいいます。

例)6900V×1.5倍=10,350V

印加時間は10分間です。

耐圧試験の時期は?

耐圧試験は受電前に行います。

受変電設備(キュービクル)を設置し、
地中引込の場合は高圧キャビネット(電力会社にて設置)を設置したら、
UASかUGSを取付けます。(架空引込の場合はPASを取付け)
高圧ケーブルを引き、高圧ケーブルの端末処理を行った後に耐圧試験を行います。

キュービクル側には電力会社のVCT(計器用変成器)を取付けますが、
耐圧試験後に取付けるように電力会社と調整をします。

受電前は非常に忙しい時期です。現在は建築工事が遅れがちになる傾向が多く
見受けられ、高圧キャビネットの設置や、引き込み工事、耐圧試験の工程を
しっかりと行わないと受電ができなくなることがありますので慎重にいきましょう。

絶縁耐力試験方法(受変電設備の場合)

試験前の準備
・被試験機器の絶縁階級と印加電圧を確認します。印加電圧に耐えない機器がある場合は、
切離し、端子を短絡しておきます。また、回路構成上、電圧印加が不適切な機器は切り離します。
切り離した機器は記録しておきます。
・電圧印加区分を明確にする。また、印加順序を検討しあらかじめ定めておく、電圧印加区分は記録する。
・被試験機器の構成機器のデータを基に静電容量を算出し、充電電流を計算します。
・回路の結線並びに試験器の変圧比及び容量が適切かどうか確認します。
・充電電流が試験器の定格値を超える場合はまたは試験用電源容量が十分でない場合、リアクトルを使用します。
・計器、ストップウォッチ、検電器、 「高電圧危険」等の表示、ベル、ブザー等を準備します。

試験
①耐圧試験前に電路の絶縁抵抗測定(1000Vメガ)を行います。

②引き込み口断路器の負荷側端子のR、S、T相の三相を細い裸銅線でつないで短絡します。

③耐圧試験装置の接地側リード線を、受変電設備の接地端子に接続します。

④耐圧試験装置の線路(高圧)側リード線を、細い裸銅線に接続します。

⑤電圧調整ダイヤルを0にします。

⑥電源スイッチを投入します。

⑦電源調整ダイヤルを回して、異常のないことを確かめながら、試験電圧を
徐々に使用最大電圧まで上昇し、それ以後、規定値までなるべく速く上昇させます。

⑧検電器で試験電圧が印加できているか確認します。

⑨ストップウォッチで時間を測ります。 (1分値、5分値、9分値を計測します。)

⑩印加時間(10分間)が経過したら、電圧調整ダイヤルを0に戻してから、電源スイッチを切ります。

⑪検電器で無電圧を確認し、放電します。

⑫耐圧試験後の絶縁抵抗測定(1000Vメガ)を行います。(絶縁が悪くなっていないことを確認する。)

試験終了後
・印加線の取り忘れのないよう入念に点検します。接地線を試験前の状態に戻し、
使用した電線類は、整理します。
・取外した機器を試験前の状態に戻し、結線の間違いがないか、使用した試験用電線が
残ってないか確認します。

絶縁耐力試験の安全対策

・検電、放電は、絶縁用保護具(電気用ゴム手(高圧用)、
電気用ゴム長(高圧用)、電気用保護帽)を着用します。

・絶縁耐力試験は高電圧を受変電設備、高圧ケーブルに印加して試験を行いますので、
試験装置、印加ケーブル、印加点、変電所、高圧キュービクルには、
作業者および第三者が絶対に接触しないように
バリケード、カラーコーン等を設置します。さらに監視人を配置します。

・印加電圧を確認するときの連絡方法として、無線機などを用意します。

・電気室、配電盤には、第三者にも分かるように、危険表示を行う。

・絶縁耐力試験から除外する機器(避雷器)の確認を行います。

・絶縁抵抗測定および絶縁耐力試験後、残留電荷の放電を行います。

絶縁耐力試験に用意する工具

工具名 説明
電気用ヘルメット 頭部を保護するのはもちろん、電気用は絶縁体でできています。
高圧ゴム手袋 ゴム手袋損傷防止のため、皮手袋にかぶせて使用します。
高圧ゴム長靴 ゴム手袋が万が一破損しても、電流が足から流出するのを防止して感電事故
にならないようにします。
短絡接地器具(ショートアース) 閉路した電路において、誤通電、混触による感電を防止するため、
この金具を用いて、確実に接地します。

その他の工具:耐圧試験機、トランス、放電棒、高圧検電器、無線機、
カラーコーン、バー、ストップウォッチ、絶縁抵抗計

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