電気設備で使用するインサートにはさまざまな種類があります。
インサートの選定と取付方法をまとめました。
インサートとは
インサートとはコンクリート建造物の天井に、軽天井や電気設備、
空調関連設備、上下水道、スプリンクラー等の
配管設備といった、さまざまな部材、機材類の取付けが必要になります。
スラブに生コンクリートを流し込む前に、
前もって型枠に金具を装着しておく“まえ施工方式”と言われているタイプのものの
メネジ埋込みアンカーの総称を言います。
まえ施工によるインサート作業は、あと施工方式のようなコンクリートに対する
穴開け作業が必要ない分、施工上のトータルコストが大幅に下がります。
特に大型の建築物件や軽天工事など、インサート金具を大量に使用する場合
には大きなメリットがあります。
インサートの選定方法
インサートにはさまざまな種類があります。選定方法は取付部材の重量や取付状況
により使用目的に合った形状、長さのものを選びます。
型枠かデッキか
天井用には型枠用とデッキ用があります。
型枠用は型枠に釘で固定し、デッキ用はデッキに穴を開け
インサートを穴にはめれば完了です。
デッキ用インサートには、コンクリート打設前に踏まれて
倒れないようにスプリングが付いているものがあります。
断熱材はあるか
断熱材敷込場所のインサートの取付けは、断熱材の種類、厚さ等を確認し断熱天井用
のインサートの中から適切なものを選定します。
吊る設備は何か
インサートには「軽天用」「軽設備用」「重設備用」があります。
電気設備では、 「軽設備用」「重設備用」を使用します。
「軽設備用」は天井内配線、電線管用、幅600mm以下の
ケーブルラック用等に使用します。
「重設備用」は幅600mmを超えるケーブルラック用、
縦幹線ケーブルの支持用のフック等で使用します。
材質を選ぶ
材質は、一般スチール材の他にステンレスや溶融亜鉛めっき製、結露防止を目的とした
オール樹脂製品、セラミック製品などがあります。
屋内は一般のスチール製、ピット内や屋外はステンレス製か溶融亜鉛めっき製を使用します。
型枠用にはインサートを固定する釘が鉄製と樹脂製があります。
鉄製の釘は湿気がある場所だとサビるおそれがあり、釘を抜いた後、さび止め塗装を
しなければならない事例もあります。その点樹脂製はサビることはなく、釘を折れば完了です。
インサートの施工方法
型枠の場合(樹脂釘)
1.インサート用の施工図を作成します。(梁や壁の型枠から寸法を測れるように書く)
↓
2.墨出しします。
↓
3.墨出し位置にインサートを正確に設置します。
↓
4.通常の釘打ちの要領で、樹脂釘を1本ずつ打込み固定します。
↓
5.スラブの下に残った樹脂釘をハンマーたたきます。(コンクリート打設後)
↓
6.ボルトは緩みのないよう最後までねじ込みます。
デッキの場合
1.インサート用の施工図を作成します。(梁や柱の鉄骨や型枠から寸法を測れるように書く)
↓
2. 墨出しします。
↓
3.墨出し位置に、定められた径のホルソーまたはドリルを用いて、正確に穴をあけます。
↓
4.ドリル等であけた穴にインサートを差込みます。
↓
5.ボルトは緩みのないよう最後までねじ込みます。
最近の傾向では、あと施工アンカーを打つことがあまり好まれません。
耐震について非常にきびしくなっている現場が多くあります。
なのでインサートを入れることは必須と言えます。
また、後でアンカーを打つとなるとコストも時間もかかります。
そのためには、躯体工事のときには施工図を作成しなければなりません。