ボルト締め付けトルク値、締め付け確認方法です。
ボルトの締め付めはなぜ必要か
電気工事では、電線をMCCBや端子台
に接続する作業が多くあります。
MCCBや端子台のビスやボルトの締め付け不良があると、
通電したあとにビスやナット緩み、
緩んだ部分の設置面積が減少し熱が発生します。
そうすると焼損や溶断などの障害が起きます。
このようなことを防止するために
ボルトの締め付け確認が必要となります。
ボルト締め付け方法、手順
【準備】
①盤製造者と現場作業者との区分を明確にします。
製造者側の締め付け確認シールや試験成績表等で
締め付けを実施していることの確認を行います。
②締め付け完了シールを用意し、
締め付けが完了したらサインをし、
盤に貼るようにします。
【締め付け作業員による締め付け作業】
①端子台およびMCCBに適合する圧着端子を、
適正な圧着工具を使用して圧着します。
②圧着した端子への端子台、MCCBへの締め付けは、
ねじ山のずれ、過締め付けに注意して行います。
③締め付け工具は、トルクレンチまたは
トルクドライバーを使用して行います。
④締め付け終了後、配線を手で掴み、
動かしてみて接続に問題ないか確認し、
ペイントマーカーやマッキーでビス
またはボルトにマーキングします。
⑤盤1面分の締め付けおよびマーキング
を完了したら、盤に貼り付けた締め付け
確認シールに締め付けた人
の名前と日付を記入します。
⑥端子接続部がない、差込み形のMCCB等は、
配線差込後に、配線を動かしてみて、
差込み状態が適正であるかを確認します。
【施工管理者による締め付け確認】
①接続された状態を目視確認し、トルクレンチまたは
トルクドライバーで締め付け確認を行います。
②締め付け作業員が行ったマーキング色
と違う色でマーキングします。
③盤1面分の締め付け確認を終えたら、
増し締め確認シールに締め付け確認した人
の名前と日付を記入します。
④端子接続部がない、差込み形のMCCB等は、
配線差込後に、配線を動かしてみて、
差込み状態が適正であるかを確認します。
【通電後の確認】
①施工管理者は、通電を開始してから引き渡しまでの間に、
もう一度停電し、締め付け確認を行います。
②締め付け状態に不良があった場合、再度締め付け、
違う色でマーキングします。
③停電できない場合は、通電状態で放射温度計で、
配線接続部の温度を行います。
④ 盤1面分の締め付け確認を終えたら、
増し締め確認シールに締め付け確認した人
の名前と日付を記入します。
⑤端子接続部がない、差込み形のMCCB等は、
配線差込後に、配線を動かしてみて、
差込み状態が適正であるかを確認します。
締め付けトルク値
MCCBの場合
締め付けトルク値(MCCB)
サイズ | JIS C 8370 (参考) |
推奨管理値 | MCCB (パナソニック) |
MCCB (日東工業) |
---|---|---|---|---|
M4 | - | - | 1.2~1.6 | - |
M5 | 2.0 | 2.8(29) | 2.0~2.5 | 2.5~3.5 (25~35) |
M6 | 2.5 | 4.0(41) | 3.0~4.0 | 4.0~5.0 (40~50) |
M8 | 6.0 | 11.3(115) | 5.5~7.0 | 5.5~7.5 (55~75) |
M10 | 10.0 | 19.6(200) | 13.0~20.0 | - |
M12 | 14.0 | 42.6(435) | 40.0~50.0 | 40.0~50.0 (400~500) |
【単位:N・m】
注:( )内は、重力単位(kgf・cm)に変換した値。
端子台の場合
締め付けトルク値(端子台)
サイズ | JIS C 2805 :2010 |
推奨管理値 | 端子台 (三菱電機) |
MCCB (日東工業) |
---|---|---|---|---|
M4 | - | - | 1.2~1.8 | 1.2~1.8 |
M5 | 2.0~2.5 | 2.8(29) | 2.0~2.5 | 2.5~3.5 |
M6 | 4.0~4.9 | 4.0(41) | 3.5~5.0 | 4.0~5.0 |
M8 | 8.9~10.8 | 9.1(92.5) | 8.0~10.0 | 6.0~8.0(+ドライバー) 8.0~13.0(ボルト等) |
M10 | 18.0~23.0 | 19.1(195) | 15.0~20.0 | 15.0~25.0 |
M12 | 31.5~39.5 | 30.4(310) | 25.0~35.0 | 40.0~50.0 |
【単位:N・m】
注:( )内は、重力単位(kgf・cm)に変換した値。
放射温度計による盤、電線、ケーブルの管理温度(参考値)
機器・配線の名称 | 略記号 | 測定対象 | 管理温度 (℃) |
許容温度 (℃) |
---|---|---|---|---|
低圧盤 | - | 接触部 | 55 | 65 |
- | 接続部 | 60 | 75 | |
- | 配線用遮断器端子(MCCB) | 75 | 90 | |
電線・ケーブル類 (周囲温度30℃) |
EM-IE | 600V耐熱性ポリエチレン絶縁電線 | 65 | 75 |
IV | 600Vビニル絶縁電線 | 50 | 60 | |
HIV | 600V二種ビニル絶縁電線 | 65 | 75 | |
EM-EE | 600Vポリエチレン絶縁耐熱性 ポリエチレンシースケーブル |
65 | 75 | |
VVF | 600Vビニル絶縁耐熱性 ビニルシースケーブル(平形) |
50 | 60 | |
CV | 600V架橋ポリエチレン絶縁 ビニルシースケーブル |
75 | 90 | |
KIP | 高圧機器内配線用電線 | 65 | 80 | |
6kV CV | 6600V架橋ポリエチレン絶縁 ビニルシースケーブル |
75 | 90 |
注)周囲温度40℃とする。ただし、
周囲温度が記載されたものは、その値とする。