コンデンサは向かい合わせにした2つの電極の間に
絶縁体(誘電体)をはさんで、電気容量を得る装置です。
コンデンサと静電容量
コンデンサとは2枚の金属板で絶縁体(誘電体)をはさんだ構造になっています。
コンデンサ回路に電気を流すと、金属板に電荷が蓄えられた状態になり、
この状態を充電と言います。
コンデンサが電荷を蓄えることのできる能力を「静電容量」言い、記号はC
で単位はF(ファラッド)です。
静電容量を求める式は
C=εS/d(F)
ε:誘電率(誘電体の) S(m2):金属板の面積 d(m):金属板の距離
金属板の面積が大きいほど、また金属板の距離が小さいほど静電容量は
大きくなります。
誘電率は物質によって変わります。
物質 | 誘電率 |
---|---|
空気 | 1 |
絶縁油 | 2.2 |
紙 | 2.0〜2.6 |
酸化チタン磁器 | 100 |
チタン酸バリウム | 2000〜3000 |
コンデンサの交流回路
コンデンサに交流電源をつなぐと、交流は電流の向きが変化するため、
電流の向きが変わるたびに充電と放電を繰り返します。
これは金属板間を電流が流れているのではなく、電流が流れているように
見えるだけです。
また周波数が高いほど電流は流れやすくなります。
コンデンサに交流電圧を加えると電源電圧が0Vから最大になるまで
充電電流が流れ、電源電圧の最大値で電流は0Vになります。
電源電圧が最大値から下がり始めると放電し、電源電圧が0Vで放電電流
が最大になります。
ここから電源電圧の極性が変わって再び充電電流が流れ、電源電圧が
逆極性の最大値で充電が停止し、再度放電します。
このように交流電源にコンデンサをつなぐと、電源電圧の変化により
電流の流れの変化が1/4周期早くなります。
1周期は360°なのでその1/4=90°電流が進みます。
このことを位相が90°進むと言い、この電流を進み電流と言います。
高圧進相コンデンサとは
高圧進相コンデンサとは、受変電設備あるいは個々の負荷に並列に接続して、
遅れ無効電力を補償して、力率を改善する目的で設置するコンデンサのことです。
力率改善と電気料金
力率を改善すると、無効電力が少なくなり、送配電設備内の損失が減少する
ので、電力会社においては、力率料金制度が採用されています。
力率料金制度とは、力率85%を基準とし、力率が85%より1%上回ると、
基本料金の合計の1%が割引きされ、力率が1%下回ると、基本料金の
1%が割り増しされる制度です。
受変電設備の力率改善の目標値
受変電設備での力率改善の目標値は、平均使用状態で95%程度と
することが望ましいです。
力率の改善目標を100%とすれば理想的だが、実際の負荷は増えたり、
減ったりするので、最大負荷に対して力率を100%とすると、軽負荷時
に進み力率となり、受電電圧の上昇などの原因になります。
高圧コンデンサの点検方法
点検項目 | 備考 |
---|---|
外箱の変形、損傷、発サビがないか | 外箱の過熱は、変色、変形で判断する |
外箱の著しいふくらみはないか | - |
外箱の過熱はないか | - |
漏油していないか | 外箱面に油がにじみ出ている程度はよいが、 油が漏れるものは、早急に修理するか、交換する |
異音、異臭はないか | - |
配線接続端子部の過熱はないか | 接続端子の過熱は、かげろう、変色などにより 判断する |
接地線のはずれ、断線はないか | 接地線を手で振ってみて、動くようであれば 接続端子を締め付ける |
接地線の端子がゆるんでないか | - |
ブッシングのき裂、汚損、損傷はないか | - |
ブッシング表面に、じんあい、塩分が 付着していないか |
- |
ブッシング表面を清掃する | ブッシングの清掃は、固着した汚れをナイフ などで、乱雑に削り取らないで上薬を傷つけ ないように、ていねいにふきとる |