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変圧器(トランス)のしくみと点検方法

変圧器(トランス)のしくみと点検方法です。

変圧器(トランス)とは

変圧器(高圧の場合)とは、受変電設備で、
高圧受電電圧6600Vを105Vまたは210Vの低圧に変成するものです。

受変電設備に用いられている高圧変圧器は、油入変圧器とモールド形変圧器が
あります。

2014年度からは改正省エネ法に基づき、第二次判断基準が施行され、
現在のトップランナー変圧器と比べ、省エネ性能を大幅に向上させた
「トップランナー変圧器2014」へ切り替わっています。

油入変圧器の特徴

油入変圧器は、鋼板製のタンク内に変圧器本体、絶縁油が封入されています。
また、外部はブッシング、コンサベータ、放熱器、温度計などで構成されています。
発生した損失熱を、絶縁油の自然対流によって冷却します。
構造が簡単で保守が容易、また効率も良いため、配電用変圧器として幅広く利用されています。
単体での屋外使用も可能です。

変圧器は、キュービクル式高圧受変電設備として、ケースに収納して使用することが一般的ですが、
油入変圧器は屋外仕様ですので、キュービクルに収納せず、単体で設置することも可能です。

モールド変圧器の特徴

モールド変圧器は、変圧器の巻線をエポキシ樹脂で含浸モールドさせた変圧器です。
油入変圧器と違って絶縁油を使用しないため、発火の恐れがなく、
ビルや地下といった不燃化を求められる場所に設置されます。
油入変圧器と比べ、寸法が小さく、重量が軽いので、据え付けが容易です。

自己消火性のエポキシ樹脂を含浸モールドしているので、
万一の事故によりアークが発生しても、発火の恐れが少なく、
トンネル、地下鉄、デパートなど、屋内設置として不燃化を要求される場所に適しています。

油入変圧器と比較すると、機器単体でのコストはUPしますが、
消火設備の軽減、機器搬入の柔軟性などの利点があり、
トータルコストで低減が図れる場合も多いです。

モールド変圧器は屋外使用が可能か?

屋外キュービクルに収納すると、屋外でも使用できます。
ただし、屋外キュービクル内にモールド変圧器を収納する場合は次の点に注意してください。

・暴風雨時でも吸気口、排気口などから侵入した雨水が
変圧器にかからない構造としてください。

・直射日光がモールドコイルに当たらぬようにガラスまたは
アクリル板などで直射日光をさえぎってください。

・夏期にはキュービクル内の温度が上昇しますので、換気を十分に行い、
変圧器の周囲温度は40℃以下になるよう配慮してください。
(日立産機システム製 引用)

変圧器の損失改善

【無負荷損の改善】
電圧をかけると負荷の大きさに係わらず変圧器の鉄心から発生する無負荷損を下げるべく、
結晶方位性が高い高磁束密度方向性電磁鋼板、
表面溝加工し磁区を細分化した磁区制御方向性電磁鋼板、またはアモルファス鉄心が使用しています。

【負荷損の改善】
電流が流れると、主にコイルから発生する損失で、負荷電流の大きさの二乗に比例して発生するのが負荷損です。
負荷損を下げるため、巻線絶縁物の薄葉化、フィルムでのコイル導体の短縮により損失を小さくします。
また、導体断面積を増やしたり、巻線導体をアルミ線から導電率の良い銅線に変更しています。

変圧器の選定

変圧器を選定するときの注意点です。
①変圧器のバンク数は、できるだけ少なくする。
②変圧器の励磁突入電流の抑制対策を行う。
③変圧器の接続は、変圧器の容量ができる限り、三相が平衡になるようにする。
④電気炉など大容量の単相負荷を設置するときは、事前に電気事業者と協議する。
⑤変圧器の一次側電路には、開閉装置を設置する。

変圧器容量 開閉装置
遮断器
(CB)
高圧交流負荷開閉器
(LBS)
高圧カットアウト
(PC)
300kVA以下
300kVA超過 ×

変圧器(トランス)の点検方法

(例)油入変圧器の場合

点検項目 備考
外箱の変形、損傷、発サビはないか -
外箱が過熱していないか 温度計がある場合は温度計を確認する。
油漏れはないか -
異音、異臭はないか -
吸湿剤が変色していないか -
油量は良いか 油量標示線を確認
油の酸価度は良いか(年次点検) 0.2以下で良、0.2~0.4で要注意、0.4以上不良
絶縁抵抗値を測定する(年次点検) 一次と二次間および一次と大地間30MΩ、
二次と大地間5MΩ
ブッシングのき裂、損傷、汚損はないか -
ブッシング表面に塩分、じんあいが付着していないか -
ブッシング表面を清掃する(年次点検) -
接続端子部の過熱はないか サーモラベルを目視する
接地線のはずれ、断線はないか -
接地線端子はゆるんでないか -

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