ホーム分電盤の種類、設置場所、選定方法、施工方法です。
ホーム分電盤の種類
ホーム分電盤とはマンションや一般住宅の玄関や洗面室などにある、ブレーカーが何個か設置されている箱のことを言います。
外箱が樹脂製のものと金属製のものがあり、蓋付きとブレーカーむき出しの蓋なしタイプがあります。
ホーム分電盤は主幹ブレーカー+分岐ブレーカーの構成になっていて、主幹ブレーカーは単3中性線欠相保護付漏電遮断器になっています。
分岐ブレーカーはMCCB(配線用遮断器)です。
ホーム分電盤の設置場所
ホーム分電盤は容易に操作、点検できる場所に設置します。
設置場所はマンションや一般住宅の玄関の上部の壁、下駄箱の中の上部、洗面所の上部の壁等が多いです。
普段操作することはないので、高い位置にあっても問題ありません。
ホーム分電盤は屋内専用です。屋外や水のかかる場所には設置できません。
ホーム分電盤の選定方法
近年、電気はエアコン、電子レンジ、IHヒーターなどの普及で多く使用されています。
昔より多くの回路数が必要になります。
選定方法は
【負荷の想定】
住宅面積(m2) | 最大需要電力(kVA) |
---|---|
50(15坪)以下 | 4 |
70(20坪)以下 | 5 |
100(30坪)以下 | 6 |
130(40坪)以下 | 7 |
170(50坪)以下 | 8 |
最大需要電力の公式(想定)は
P=40(VA/m2)×住宅面積(m2)+1,000〜2,500(VA)
最大需要電力の公式(想定)の1,000〜2,500(VA)は下表を目安とします。
住宅面積(m2) | 加算値(VA) |
---|---|
50以上 | 2500 |
50超過100以下 | 2000 |
100超過150以下 | 1500 |
150超過 | 1000 |
【主幹容量の選定方法は】
I=(P(VA)÷100(VA))×0.5×1.3(不平衡安全率)+5(住宅面積が70m2超過の時に加算)(A)
住宅面積(m2) | 最大需要電力 (kVA) |
1線あたりの 電流×1.3A |
加算する値 (A) |
主開閉器の 定格電流(A) |
---|---|---|---|---|
50(15坪)以下 | 4 | 26 | 0 | 30 |
70(20坪)以下 | 5 | 32.5 | 0 | 40 |
100(30坪)以下 | 6 | 39 | 5 | 50 |
130(40坪)以下 | 7 | 45.5 | 5 | 60 |
170(50坪)以下 | 8 | 52 | 5 | 60 |
【分岐回路数を決めます】
分岐回路数は
分岐回路数=一般回路数+専用回路数+予備回路数
の公式で決定します。
一般回路数は下表を参考にします。
住宅面積(m2) | コンセント回路 | 照明回路 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
台所 | 台所以外 | |||
50(15坪)以下 | 2 | 2 | 1 | 5 |
70(20坪)以下 | 2 | 3 | 2 | 7 |
100(30坪)以下 | 2 | 4 | 2 | 8 |
130(40坪)以下 | 2 | 5 | 3 | 10 |
170(50坪)以下 | 2 | 7 | 4 | 13 |
専用回路を施設する場所と機器の種類の例
場所 | 専用回路数 | 専用回路を 必要とする機器 |
使い分けにより専用回路を 必要とするその他の機器 |
---|---|---|---|
台所 | 1 | 電子レンジ | 食器洗浄・乾燥機 |
1 | 炊飯器 | オーブントースター | |
食事室 | 1 | ホットプレート | 電磁調理器、電熱コンロ |
居間または寝室 | 1 | エアコン | セラミックヒーター、電気温風ヒーター 電気カーペット、電気コタツ 電気ストーブ |
子ども室 | 1 | エアコン | セラミックヒーター、電気温風ヒーター 電気カーペット、電気コタツ 電気ストーブ |
トイレ | 1 | ウォシュレット | ー |
洗面・脱衣所 | 1 | 洗濯機・乾燥機 | ドライヤー |
予備回路は2〜4回路を推奨します。
【リミッタースペースの有無】
リミッタースペースは、電力会社より供給されるアンペアブレーカーを設置するスペースで、家庭の電気使用量を制限するのが目的です。
家電製品を最大で同時に使った時のことを考え、容量を決定します。
例:3kVAなら30Aです。
スマートメーターにはリミッター機能が付いているので、スマートメーターを設置するとリミッターは不要となります。
リミッタースペース(アンペアブレーカー設置)が必要な地域
北海道電力、東北電力、管内
リミッタースペース(アンペアブレーカー設置)が不要な地域
東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力、管内
ホーム分電盤の施工方法
①ホーム分電盤は幹線ケーブル、分岐ケーブルを盤の裏面から取り込みます。
↓
②取り込むケーブルを盤を取り付ける壁の中に配線しておきます。
↓
③盤に隠れる範囲で壁に穴を開けケーブルを引き出します。(盤を取り付けるビス穴の所に穴を開けないように気を付ける)
↓
④盤にケーブルを通し、盤を壁に固定します。(取り付けは壁がベニヤかコンパネであればビスで、ボードならボードアンカーで固定します。)
↓
⑤幹線ケーブルを主幹ブレーカーに接続します。(幹線ケーブルはCVTかCVケーブルなので圧着端子をケーブルに圧着し接続します。)
↓
⑥アース線をアー端子に接続します。
↓
⑦分岐ケーブルを分岐ブレーカーに接続します。(分岐ブレーカーはケーブル差し込みタイプが主ですので、VVFケーブルの被覆を剥いて差し込みます。)
↓
⑧回路名称に表示をして、蓋を閉めれば完了です。