接地工事の種類と接地線の太さ一覧です
なぜアースが必要か
アースとは電気を逃がすために地面につないだ電極のことで、
電気機器と地面をつなぎ、人体が感電することを防ぎます。
電気を利用するうえでは、常に感電の危険があります。
たとえば、洗濯機の金属製ケース(外箱)は、通常は電気が通る
部分ではありません。
しかし、内部のモーターや電気回路の絶縁が悪くなると、
電気がケースに漏れる恐れがあります。
漏れた電気は、なるべく抵抗が小さいところを通って地面に
流れようとします。
そこで、あらかじめケースと地面を導線でつないで電気が
最も流れやすい回路を作っておくと、電気は人体ではなく、
アースで地面に流れますので、感電を防ぐことができます。
接地工事の種類
工事種別 | 接地抵抗値 |
---|---|
A種接地工事 | 10Ω以下 |
B種接地工事 | |
変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の一線地絡電流のアンペア数で150を除した値に等しいΩ数以下。ただし、5Ω未満であることを要しない。 | |
C種接地工事 | 10Ω以下 |
(低圧電路において、当該電路に電流動作形で定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設するときは500Ω) | |
D種接地工事 | 100Ω以下 |
(低圧電路において、当該電路に電流動作形で定格感度電流100mA以下、動作時間0.5秒以下の漏電遮断器を施設するときは500Ω) |
※B種接地工事の値は場所によって違います。電力会社に確認してください。
接地工事の細目
接地工事の種類 | 接地線の種類 |
---|---|
A種接地工事 | 引張強さ1.04kN以上の金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線 |
B種接地工事 | 引張強さ2.46kN以上の金属線又は直径4mm以上の軟銅線 (高圧電路又は解釈第133条に規定する特別高圧架空電線路 の電路と低圧電路とを変圧器により結合する場合は、 引張強さ1.04kN以上の金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線) |
C種接地工事 及びD種接地工事 |
引張強さ0.39kN以上の金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線 |
機械器具の使用電圧の区分 | 接地工事 | |
---|---|---|
低圧 | 300V以下 | D種接地工事 |
低圧 | 300V以上 | C種接地工事 |
高圧 | A種接地工事 |
A種接地線の太さ
自動遮断機の定格 (調節可能なものまでは制定値) |
接地線の太さ | 接地分岐線の太さ |
---|---|---|
100Aまで | 2.6mm以上 | |
200Aまで | 14m㎡以上 | 5.5m㎡以上 |
400Aまで | 22m㎡以上 | 5.5m㎡以上 |
800Aまで | (50)m㎡以上 | 5.5m㎡以上 |
1000Aまで | 60m㎡以上 | 5.5m㎡以上 |
1200Aまで | (80)m㎡以上 | 5.5m㎡以上 |
B種接地線の太さ
変圧器一相分の容量 | 接地線の太さ | |||
---|---|---|---|---|
100V級 | 200V級 | 400V級 500V級 |
銅 | アルミ |
5kVAまで | 10kVAまで | 20kVAまで | 2.6mm以上 | 3.2mm以上 |
10kVAまで | 20kVAまで | 40kVAまで | 3.2mm以上 | 14m㎡以上 |
20kVAまで | 40kVAまで | 75kVAまで | 14m㎡以上 | 22m㎡以上 |
40kVAまで | 75kVAまで | 150kVAまで | 22m㎡以上 | 38m㎡以上 |
60kVAまで | 125kVAまで | 250kVAまで | 38m㎡以上 | 60m㎡以上 |
75kVAまで | 150kVAまで | 300kVAまで | 60m㎡以上 | 80m㎡以上 |
100kVAまで | 200kVAまで | 400kVAまで | 60m㎡以上 | 100m㎡以上 |
175kVAまで | 350kVAまで | 700kVAまで | 100m㎡以上 | 125m㎡以上 |
●「変圧器一相分の容量」とは
①三相変圧器の場合は定格容量の1/3の容量
②単相変圧器同容量のΔ結線又はY結線の場合は、単相変圧器の1台分の定格容量
③単相変圧器V結線の場合
・同じ容量のV結線の場合は、単相変圧器の1台分の定格容量
・違う容量のV結線の場合は、大きい容量の単相変圧器の定格容量
●低圧側が多線式の場合は、その最大使用電圧を適用する。
(単相3線100/200Vの場合200V級を適用)
C種又はD種接地線の太さ
※(1)容量 | 一般の場合 | ||
---|---|---|---|
銅 | アルミ | ||
20A以下 | 1.6mm以上 | 2m㎡以上 | 2.6mm以上 |
30A以下 | 1.6mm以上 | 2m㎡以上 | 2.6mm以上 |
50A以下 | 2.0mm以上 | 3.5m㎡以上 | 2.6mm以上 |
100A以下 | 2.6mm以上 | 5.5m㎡以上 | 3.2mm以上 |
150A以下 | - | 8m㎡以上 | 14m㎡以上 |
200A以下 | - | 14m㎡以上 | 22m㎡以上 |
400A以下 | - | 22m㎡以上 | 38m㎡以上 |
600A以下 | - | 38m㎡以上 | 60m㎡以上 |
800A以下 | - | 60m㎡以上 | 80m㎡以上 |
1000A以下 | - | 60m㎡以上 | 100m㎡以上 |
1200A以下 | - | 100m㎡以上 | 125m㎡以上 |
※(1)容量:接地する機械器具の金属製外箱、配管などの低圧電路の電源側
に施設される過電流遮断器のうち最小の定格電流の容量
●過電流遮断器は、引込口用又は分岐用に施設するもの(開閉器が過電流遮断器
を兼ねる場合を含む)であって、電磁開閉器等は含まない。
●分電盤、配電盤の電源側に過電流遮断器が付いていない場合は、定格電流に
より、この表を適用する。
●この表の算出基礎は、下記による。
接地線の太さの算定基礎
接地線太さの計算式
A=0.052In
A=銅線の断面積、In=過電流遮断器の定格電流
A種接地工事を施す電気工作物
A種接地工事は主に高圧機器に施す接地工事です。詳細は以下の通りです。
①高圧または特別高圧の機器の鉄台および金属製外箱。
ただし、高圧の機器で人が触れるおそれがないように設置すれば省略することができる
②高圧ケーブルを収める金属管、ケーブルラック、
金属製接続箱及びケーブルの被覆に使用する金属体
③特別高圧電路と高圧電路とを結合する変圧器の高圧側に設ける放電装置
④高圧または特別高圧の電路に施設する避雷器
B種接地工事を施す電気工作物
B種接地工事はトランスに施す接地工事です。詳細は以下の通りです。
①高圧と低圧とを結合する変圧器の低圧側中性線。
(ただし、低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、
変圧器の構造または配電方式により変圧器の
中性線に施工しにくい場合は、低圧側の一端子)
②特別高圧と低圧とを結合する変圧器の低圧側の中性線(接地抵抗値10Ω以下)
ただし、低圧側の使用電圧が300V以下なら①による
③高圧または特別高圧と低圧とを結合する変圧器の
高圧または特別高圧巻線との間の金属製混触防止板
C種接地工事を施す電気工作物
C種接地工事は300Vを超える機器に施す接地工事で、
太陽光発電設備、400V回路の電動機などの接地に施します。詳細は以下の通りです。
①使用電圧が300Vを超える低圧用の機器の鉄台及び金属製外箱。
(ただし、使用電圧が300Vを超える低圧機器で人が触れるおそれがないように
設置した場合は、この限りではない。)
②金属管配線、金属製可とう電線管配線、金属ダクト配線、
バスダクト配線による使用電圧が300Vを超える低圧配線の管およびダクト
③使用電圧が300Vを超える低圧の母線等を支持する金属製の部分
④使用電圧が300Vを超える低圧ケーブル配線による電線路のケーブルを収める金属管、
ケーブルの防護装置の金属製部分、ケーブルラック、金属製接続箱、ケーブルの金属被覆など
⑤金属管配線、合成樹脂管配線、金属製可とう電線管配線、金属ダクト配線、金属線ぴ配線
による低圧配線と弱電流電線を堅ろうな隔壁を設けて収める場合の電線保護物の
金属製部分(金属ダクト内のセパレータはC種接地工事、
ケーブルラックのセパレータはC種接地工事は不要でD種接地工事で良い)
⑥使用電圧が300Vを超える低圧の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス等
⑦使用電圧が300Vを超える低圧回路に用いる低圧用SPD
D種接地工事を施す電気工作物
D種接地工事を行わなければならない場合は以下の通りです。
①使用電圧が300V以下の機器の鉄台及び金属製外箱。
(ただし、使用電圧が300V以下の低圧機器で人が触れるおそれがないように
設置した場合は、この限りではない。)
②外灯の金属製部分
③使用電圧が300V以下の金属管配線、金属製可とう電線管配線、金属ダクト配線、
ライティングダクト配線(合成樹脂等の絶縁物で金属製部分を被覆したダクトを
使用した場合は除く。)、バスダクト配線、金属線ぴ配線に使用する管、ダクト、
線ぴ、その付属品、300V以下のケーブル配線に使用するケーブル防護装置の
金属製部分、金属製接続箱、ケーブルラック、ケーブルの金属被覆など
④使用電圧が300V以下の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス及び粉じん
防爆型フレシクブルフィッチング
⑤使用電圧が300V以下の母線等を支持する金属製の部分
⑥高圧地中電線路に接続する金属製外箱
⑦地中配線を収める金属製の暗きょ、管及び管路(地上立上り部を含む)、金属製の
電線接続箱並びに地中ケーブルの金属被覆等
⑧低圧または高圧架空配線にケーブルを使用し、これをちょう架する場合の
ちょう架用線及びケーブルの被覆に使用する金属体。ただし、低圧架空配線
にケーブルを使用する場合において、ちょう架用線に絶縁電線またはこれと
同等以上の絶縁効力のあるものを使用する場合は、ちょう架用線の接地を省略
することができる
⑨使用電圧が300V以下の計器用変成器の鉄心。ただし、外箱のない計器用
変成器がゴム、合成樹脂等の絶縁物で被覆されたものは、この限りではない
⑩使用電圧が300V以下の低圧回路に用いる低圧用SPD
⑪高圧計器用変成器の二次側電路
D種接地工事の省略
D種接地工事を施す電気工作物のうち、以下の場合は接地工事を
省略できる。
①屋内配線の使用電圧が直流300Vまたは、交流対地電圧150V以下で、
簡易接触防護措置を施す場合または乾燥した場所で以下のいすれかの場合
(1)長さ8m以下の金属管及び金属線ぴ(2種金属線ぴ内に接続箇所を
設ける場合を除く。)を施設するとき
(2)長さ8m以下のケーブル防護装置の金属製部分及びケーブルラックを
施設する場合
②使用電圧が300V以下の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス及び
粉じん防爆型フレキシブルフィッチングで、次のいずれかのとき
(1)乾燥した場所に施設したとき
(2)屋内配線で使用電圧が直流300Vまたは交流対地電圧150V以下の
場合において、簡易接触防護措置を施すとき
③使用電圧が300V以下で、下記のいすれかの場合
(1)4m以下の金属管を乾燥した場所に施設するとき
(2)4m以下の金属製可とう電線管及び金属線ぴ(2種金属線ぴ内に接続点を
設ける場合を除く。)を施設するとき
(3)長さ4m以下のケーブルの防護装置の金属製部分およびケーブルラック
を施設するとき
④使用電圧が直流300V以下または、対地電圧が交流150V以下の機器を
乾燥した場所に施設する場合
⑤対地電圧が150V以下で長さ4m以下のライティングダクトを施設する場合
⑥地中配線を収める金属製の暗きょ、管および管路(地上立上り部を含む)
金属製の電線接続箱および地中ケーブルの金属被覆でかつ、防食措置を
施した部分
⑦マンホールまたはハンドホール内の低圧ケーブル用金属製支持材を施す場合
共用接地
共用接地とは、各種接地工事の接地線を共用の接地極につなぐ接地工事を言います。
【鉄骨造などの建造物における共用接地】
鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造の建物において、
これらの建物の鉄骨等の一部が地中に埋設されている場合、接地極として利用することができます。
適用できる接地 | 条件等 | 備考 |
---|---|---|
A種接地工事 B種接地工事 |
・S造、RC造またはSRC造の建物 ・等電位ボンディング ・以下の接触電圧50V以下 低圧機器と系統外導電性部分間 系統外導電性部分相互間 隣接建物間 |
接触電圧の制限は、高圧または 高圧または特別高圧の機械機器 の外箱に施す接地線に1線地絡 電流が流れた場合 |
C種接地工事 D種接地工事 中性点接地工事 |
・S造、RC造またはSRC造の建物 ・等電位ボンディング |
ー |
※等電位ボンディングとは、建築物の空間における金属導体間を、障害が発生しないレベルの
電位差に制御するための電気的接続です。
※系統外導電性部分とは、建物構造体の金属部分など電気設備の部分を構成しない導電性部分です。
※共有接地の場合でも、B種接地は単独接地とすることを推奨しています。
【共用接地した場合の注意事項】
系統接地(B種接地工事)と機器接地(C種およびD種接地工事)とを共用接地した場合は、
低圧機器側に一線地絡事故が発生すると、電圧線と中性線が短絡した場合と同じ状態になり、
短絡事故に相当する大きな電流が流れます。
また、過大な地絡電流により感電や火災の原因になるばかりでなく、近くの回路に誘導障害
によるノイズやサージの影響を及ぼす可能性があります。
この影響は、低圧側が400V回路の場合にさらに大きくなります。
これらを防止するため、中性点に抵抗を挿入した抵抗接地方式を採用し、
地絡時の電流値を数mAから数十mAに抑える方法をとることもある。
この場合、変圧器は混触防止板付きとし、この混触防止板にB種接地工事を
施すことが一般的です。
接地線(アース線)の色、種類
接地線の種類は、IVで良いです。接地線の場合のみIVでの天井ころがし配線が可能です。
VVFケーブルやCVケーブルは3芯の場合、電源線で2芯使用し、1芯接地で使用します。
接地工事の接地線の色は緑色、緑/黄の被覆を有するものを使用します。
接地工事の接地線の施設の注意事項
①接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
②接地線の地上75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用
を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂管及びCD管を除く)
またはこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
接地工事の材料
アース棒
・A、C種接地工事は10Ω以下のため、規定の接地抵抗値を出すまでに何本ものアース棒を
打たなければならない。広範囲にならないように連結のアース棒を使用したほうが
施工性が良い。
・Φ14の長さ1500mmの連結タイプを使用するのが一般的、リード端子はΦ14で22sq。
・B種接地工事も連結タイプで良い。
・D種接地工事は100Ω以下のため、地質にもよるが、比較的規定の接地抵抗値は容易に出やすい、
Φ14の長さ1500mmの単独タイプ1本で良いことも多い。
アース板
・アース板は接地抵抗が出やすいが、板を埋設するために掘削が必要になる、重機を使用できる場合
は板のほうが施工性が良いこともある。
・避雷針の接地に使用することも多くある。
水切り端子
建物の躯体基礎下部に接地工事を行う場合、毛細管現象により、接地線を伝って、地下水が
上がってくることを防ぐため、水切り端子を地中梁内に取付ける。
➡接地抵抗測定方法はこちら